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親が住宅の頭金を出してくれた場合,どのように財産分与すべきか


2019.04.24離婚


離婚のご相談を受けた際,住宅ローン付物件の財産分与の方法が問題になることがあります。

 

この場合,残ローンがあり,その残ローンの額が住宅の価値を超えている場合は,財産分与の対象となる積極財産はないと扱えばよいことになります。
残ローンがあるが,住宅の価値が残ローンの額を超えている場合はどうでしょうか。この場合,住宅売却後の余剰金(あるいは余剰金相当額)を財産分与の対象として扱えばよいことになります。基本的には,2分の1ずつに分けるということになるでしょう。
それでは,どちらかの親が頭金を出している場合は,どのように扱えばよいでしょうか?
この場合,頭金を出している側が,頭金の額に相当する分は優先的に取得する権利があると主張されることがあります。
たとえば,6000万円の物件を購入したケースで,妻側の父親が2000万円の頭金を出し,残り4000万円につき住宅ローンを組み,残債が1200万円,住宅の価値が3600万円に下がっている場合を考えてみます。
この場合,住宅3600万円で売却し,1200万円の残ローンを支払うことから,余剰金は2400万円となります。この2400万円につき,妻側の父親が優先的に2000万円を回収できるかという問題です。
もちろん,妻側の父親が,夫から2000万円の借用書をとるなどして,金銭消費貸借契約の主張ができる場合においては,優先的に2000万円をとることは可能です(この場合,そもそも住宅売却後の剰余金からでなく,夫の別の財産から回収することも可能です。)。
妻側の父親が金銭消費貸借の主張ができない場合はどうでしょうか。この場合,通常,妻側の父が出している2000万円を妻側の財産形成寄与と考えます。頭金2000万円は全体6000万円の3分の1です。
そして,残り3分の2については,夫婦で半分ずつに分けますので,妻3分の1,夫3分の1となります。妻側は,先の3分の1が加わりますので,合計3分の2を取得し,夫側は3分の1を取得することになります。金額でいうと,余剰金2400万円のうちその3分の2である1600万円を取得し,夫が残り800万円を取得すると通常考えます。
もっと複雑なケースもあるかと思いますので,個別にご相談いただければと思います。

 

(弁護士 若狹美道)