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SPAN証拠金制度と両建(商品先物取引)


2019.03.11投資被害


平成23年1月より,商品先物取引における証拠金制度が変更になり,SPAN証拠金制度が採用されています。
SPAN証拠金制度とは,『 The Standard Portfolio Analysis of Risk 』の略で,米国のCMEが開発したリスク対応の証拠金計算を行うためのシステムです。SPAN証拠金制度においては,商品毎に個別の証拠金を計算するのではなく,保有する建玉の状況から生じるリスクに応じて証拠金を計算します。
両建の場合,基本的に売り・買いが重複している部分についてはリスク相殺されるため,証拠金が不要となります(同一限月の場合です。異限月の場合は多少調整金が必要になります。)。

 

一方,取引初心者保護のために,一定の期間は取引量を制限するという新規委託者保護の制度が各業者の内部で定められております。その定め方なのですが,一定期間(例えば取引開始より3ヶ月)においては,証拠金を一定金額(例えば500万円)に制限するという形がとられています。
そうすると,新規委託者保護の範囲内の証拠金金額ではあるが,非常に多い取引枚数の建玉ができてしまうことになります。例えば,仮に証拠金1枚を100,000円としますと,100枚の買い建て(証拠金1000万円)を行ったとしても,売りを50枚建てれば,証拠金は500万円で済むことになるのです。しかし,手数料は150枚分の金額が必要になるわけです。これで,新規委託者保護ができるといえるのでしょうか。
このSPAN証拠金と両建の関係は,さらに他の問題点をも発生させますので,次回以降も述べさせていただきます。

 

(弁護士 若 狹 美 道 )