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AIやネット情報に代替されない弁護士業務とは


2021.07.05弁護士伊東結子のブログ


先日,「『戦うロボット弁護士』の登場で告訴も自動化する時代に」という記事を見かけました。アメリカなどでの司法分野のAI・ロボットの活用事例を紹介しながら,AIやロボットが司法への敷居を低くする存在であると述べています。
https://ampmedia.jp/2021/01/19/robot-lawyer/

  • 私が弁護士になったばかりの頃は(私が弁護士になったのは2008年ですので,12年くらい前のことですね),下調べをしてからご相談にいらっしゃる方はそれほど多くありませんでしたが,ここ数年は,インターネットなどで十分に下調べをしてからご相談にいらっしゃる方がとても増えました。
    インターネットでは,非常に多くの情報が提供されていますので,ご相談にいらっしゃった時点で,ご相談者様が基本的な知識をお持ちであることも少なくありません。

    インターネットで多種多様な情報を得られ,場合によってはAIやロボットが司法的な解決に導いてくれる時代になっている中で,生身の弁護士でなければできないこととは何なのでしょうか。

    この問いに対しては,様々な回答があり得ると思うのですが,私は,「その方のニーズを汲み取り,そのニーズに合った解決に向けて具体的なアイデアを提供すること」は,生身の弁護士にしかできないことだろうと考えています。

    困りごとを抱えている方の「ニーズ」は,法的知識を授けたり,法的手段を講じさえすれば全て満たせるというものではありません。経済的に困っている方には,法的手続と並行して社会保障や福祉の制度をご案内する場合もありますし,理不尽な目に遭って弱っている方には,その辛い気持ちを吐き出す機会を持っていただくこともあります。目の前にいらっしゃる方の,その時の真の「ニーズ」がどこにあるのかを,話しぶりや表情などから汲み取ることができるのは,やはり生身の私たちなのだろうと思います。

    そして,相手方の反応などから解決までに要する手間や時間を予測して,「その方にとって」より良い解決になるように方策を練ることができるのも,やはり,法に書かれていない運用についての知識や,数々の案件を手がける中で得た経験というものがある,私たち弁護士なのだろうと思っています。

    「つづく日々の道の先を 塞ぐ影にアイデアを」

    これは,星野源さんの「アイデア」の歌詞の一部です。生身の弁護士の役割は,まさにこの「アイデア」の提供なんだろうな,としみじみ思います。
    当事務所を訪れてくださった皆様にとって,より良い「アイデア」を提供し続けられるように,日々,精進していきたいと思います。

    (弁護士 伊東結子)