前回の「離婚の相談,何が必要? ~不倫問題編~」に続き,今回は,「離婚を決意したきっかけは,夫(妻)の 暴力・暴言」というケースで,ご相談時にお持ちいただくことが望ましいものを挙げてみます。
前回と同じく,まずは,離婚のご相談に共通の事柄として,
・結婚した日(同居開始日,入籍日)
・お子さんの有無,人数,年齢
・現在の生活状況(同居中か,すでに別居をしているのか)
・離婚についての話し合いや手続きの進行状況
をメモしておいていただけると,ご相談がスムーズに進みます。
そして,暴力・暴言があった事案に特有の事情としてお伺いしたいのは,
【暴力の場合】
・暴力の具体的な日時
・暴力を振るわれるまでの経緯(例:口論をしていたら突然殴られた)
・暴力を振るわれた時の状況(特にお子さんが見ていたかどうか)
・暴力の態様(例:髪をつかまれて倒された)
・暴力によってケガを負った場合は,ケガの程度(例:青あざ,たんこぶ)
・ケガを負った場合,病院の受診をしたか
・病院の受診をした場合,医師に「暴力を受けた」と説明したか
・暴力を受けた時(もしくは受けた後)に,警察や女性センターに通報や相談をしたか
・警察等への通報や相談をした場合は,その日時
【暴言の場合】
・暴言の具体的な日時
・暴言の具体的内容(例:「セックスしないなら生活費は渡さない」「死ね」)
・暴言の具体的な方法(口頭,電話,メール等)
・暴言の具体的な態様(例:怒鳴って言った,何時間も話を聞くことを強要された)
・暴言を吐かれた時の状況(特にお子さんがいる状況だったかどうか)
・警察や女性センターに相談をした場合は,その日時
暴力に比べて,暴言は証明が難しいものです。
ただ,「暴言があったこと」は,日常的なメール等のやりとりの中から推認できることもあります。例えば,日常的なメール等の中で,「お前は本当に馬鹿だな」「何ひとつまともにできないんだな」等の言葉があれば,「日常的なやりとりでこういう言葉を用いる人なのだから,『死ね』くらいは言うだろうな」という印象につながりやすくなります。
このように,配偶者とのメールやLINEのやりとりも大切な証拠になり得ます。
他にも,写真など,「これは証拠になる?」とお考えのものは,ご相談時にお持ちいただけると,証拠としての価値について,弁護士としての見解をお伝えすることができます。
暴力や暴言を受けて,心身ともに辛い中で,相談に向けた準備をするのは大変ですよね。ですので,事実関係の整理や証拠のご準備といった作業は,ご無理のない範囲で。前回のブログにも書いたとおり,お話を整理しながらお伺いするのも,私たちの仕事のひとつです。
次回は,「離婚を決意したきっかけは,夫(妻)の浪費」というケースで,ご相談時にお持ちいただくことが望ましいものを挙げてみようと思います。
(弁護士 伊東結子)