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養育費はどうやって決めるの?・その1


2018.03.16弁護士伊東結子のブログ


離婚後の生活を考えるにあたって,避けて通れないのが「お金の問題」です。食費,衣類,日用品,学費…。子育てには本当にお金がかかりますよね。「養育費」は,離婚後の生活を支える重要な要素です。

 

今回のブログでは,養育費の決め方について説明をしたいと思います。

 

養育費は,離婚をした後に,子どもと離れて暮らす親が,子どもに対して支払う扶養料です。離婚をし,離れて暮らすようになっても,子どもの「親」であることに変わりはありませんから,子どもを養う義務があります。遠く離れて暮らすようになり,思うように子どもと会えなくなったとしても,養育費は必ず支払わなければなりません。

 

養育費の金額は法律で決められていませんので,離婚をする際に夫婦が話し合い,具体的な金額をきちんと合意することができれば問題ありません。
もちろん,離婚をした後で養育費の取り決めをすることもできますが,子どもの安定した生活のためには,やはり,離婚をする前に養育費の金額を決めておくことが望ましいでしょう。

 

話し合いができない時や,折り合いがつかない時は,家庭裁判所に調停を申し立てて具体的な金額を決めることになります。
ここで必ず見ておかなければならない資料があります。「算定表」と呼ばれている,養育費の簡易計算表です。東京家庭裁判所のホームページにPDFが掲載されていますので(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/),ぜひ一度ご覧ください。

 

先ほど述べたとおり,養育費の金額は法律では決まっていません。この「算定表」は,あくまでも,養育費の月額として適切と考えられる金額を簡単に計算するための道具に過ぎないのですが,この表によって計算された金額が,家庭裁判所の調停や裁判(審判・判決)に非常に大きく影響しているのが現実です。
ご自身のケースで,算定表で計算した養育費がいくらになるかをあらかじめ知っておくことは,今後の見通しを立てる上でとても重要ですので,養育費に関するご相談を受けた時には,必ずこの表を参照することになります。

 

算定表で養育費を計算するにあたっては,次のデータが必要です。
(1)子どもの人数,年齢
(2)夫婦それぞれの職業(例:会社員,自営業)
(3)夫婦それぞれの年収(税引き前の支払総額)
※資料として源泉徴収票や課税証明書,確定申告書の控えがあると,(3)の金額を正確に把握することができます。

 

算定表で養育費を計算することができるのは,子どもの人数が3人までのケースです(4人以上の子どもがいるケースでは,表ではなく計算式を用いて計算をすることになります)。
この時,人数に入れることができるのは,未成年(このブログを書いている時点では20歳未満)の子どものみです。2人いる子どものうち,上の子はもう成人しているというケースでは,養育費の計算の上での子どもの人数は1人になります。

 

子どもの年齢構成によって,参照すべき算定表は異なります。例えば,子どもは2人で,上の子は16歳・下の子は13歳というケースでは,算定表の「表4」を見ることになります。

 

長くなってきましたので,算定表の見方については,次回に続けて説明します。
算定表を見る時に自営業者の「年収」をどのように計算するかなど,算定表の見方には少し複雑なところもありますので,次回はそのあたりを詳しく説明する予定です。

 

(弁護士 伊東結子)