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養育費・婚姻費用の算定表の見直しが発表されました!


2019.11.20弁護士伊東結子のブログ


最高裁司法研修所から,養育費の算定基準(算定表)の改定が発表されました。11月13日に一斉に報道されましたので,ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

最高裁司法研修所は,昨年7月から算定方法の見直しの検討(「養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究」)を始めており,今年5月を目安に報告書がまとめられる予定でしたが,ようやく先日,見直し後の算定方法(算定表)の公表日を「12月23日」とすることが明らかされました。

 

報道によると,家庭の状況によっては,新しい算定方法によっても算定結果が変わらない場合もあるようですが,一般的には,現在の算定表による算定結果よりも,養育費や婚姻費用が高く算定される傾向になるようです(増額方向の改定)。

 

新しい算定表(算定方法)の具体的な内容は,公表日以降でないと分からないため,報道後に行われた調停や裁判では,調停や和解の成立を新しい算定表の公表後に繰り延べる動きが出ています(養育費や婚姻費用を受け取る側からすれば,金額の決定を延期したくなるのはやむを得ないことですね)。

 

平成28年度全国ひとり親世帯等調査(厚生労働省)によれば,養育費を受給している世帯は,母子家庭の24.3%(父子家庭では3.2%)に止まっています。また,養育費の受給額(養育費の金額が定まっている世帯の平均月額)は,母子家庭で4万3707円(父子家庭は3万2550円)に過ぎません。
扶養の義務があり,扶養をすることが現実的に可能な状態でありながらそれを免れること(いわゆる「逃げ得」)は許されるべきでなく,社会情勢に合った適切な扶養の実現は急務です。今回の算定表の見直しが,母子家庭(父子家庭)の貧困状態の緩和に少しでも効果を発揮することを願ってやみません。